近年、大学病院や総合病院をはじめ、さまざまなクリニックなどで漢方外来を開設する動きが高まっています。漢方外来では、血液検査や画像検査などからの診断を基本とする西洋医学とは異なり、東洋医学の考えに基づく望診、聞診、問診、切診の四診による診療を基本として、漢方の処方を行っているのが大きな特徴です。
西洋医学が疾患ごとの標準ガイドラインに沿って診療を進めるのに対し、漢方外来の診療にはガイドラインがないことから、患者ごとの症状、病歴、心理的な状況とその背景、ライフスタイルなどを五感を使ってしっかりと見極める必要があります。そのため、よりよい治療を進めていくためには、医師だけではなく、サポート役としての看護師も重要な役割を担うことになります。
漢方外来で看護師に要求されるスキルとしてまずあげられるのが、幅広い医学の知識です。
漢方外来は総合診療科と呼ばれることもあり、漢方外来を訪れる患者が抱えている悩みや症状は多岐にわたります。そこで、東洋医学だけではなく、全身にわたる基本的な医学知識についてあらかじめ知っておくことが、看護師としての的確なサポートにつながります。
また、漢方外来に訪れる患者の多くは西洋医学で治療がうまくいかずに見放されたり、原因がわからずに長年苦痛を抱えているケースが非常に多くなっています。こうした漢方外来ならではの患者の特性を理解しながら、患者の不安や疑問に答えたり、つらい気持ちに寄り添う姿勢を大切にして看護業務を遂行することが重要です。
このように、漢方外来で看護師に要求されるスキルは他の診療科とは大きく異なるため、事前に理解を深めておくと、配属後にそこまで戸惑うことはないでしょう。